『天然砥石館』は、京都・亀岡の大地に根ざした人や産業、ものづくりの魅力を伝える体験型テーマ館「森のステーションかめおか」内に設けられた文化施設です。
地域資源を活かすために亀岡市が開設したこの館内で、私たち株式会社霞合(かすみあわせ)が運営を担っています。
「霞合」という社名は、日本の刃物づくりに受け継がれてきた伝統技法——合わせや霞に由来します。
この技法では、硬い鋼(刃金)と軟らかな地金という異なる素材を組み合わせることで、
鋭い切れ味と耐久性、そして研ぎやすさという相反する価値を調和させ、機能美を創生しています。
異なる素材の合わせ目を天然砥石で研ぎ磨くことであらわれる、霞とよばれる美しい文様は、
しなやかな創意により、用の美を極める日本のものづくりの志を映し出しています。
そしてその霞は、日本の刃物文化を支えてきた天然砥石の産地・亀岡にあらわれる霧の姿にも重なります。
日本のものづくりへの志と、それを育んできた風土への敬意を「霞合」という名に込めました。
異なるものが組み合わさるとき、新たな価値が生まれる。
霞合は、亀岡の大地に集うさまざまな人々が紡ぐ、創生の場でありたいと願っています。
大地の資源、匠の技、地域の知恵、そして未来を担う若い感性。
多様な力が重なり合い、磨き合い、響き合う場所——それが霞合です。
私たちは、日本のものづくりの志を礎に、文化をつぎ、地域をつなぎ、新たな価値をつむいでいきます。
天然砥石は、日本文化を支える"静かなる要(かなめ)"です。
悠久の大地の営みに、人の技と知恵が重なり合って生まれたこの石は、調理、建築、工芸など、あらゆるものづくりを、黒子として静かに支え続けてきました。
この石と向き合う研磨の営みは、用の美を極める日本のものづくりの要であり、そこには自然や道具への敬意という日本ならではの心が宿っています。
私たちは、訪れる皆様と共に、天然砥石の技を受け継ぎ、研ぎの心を分かち合いながら、未来へとつないでまいります。
天然砥石館館長 田中亜紀
1982年和歌山生まれ。釣りや工芸が趣味の祖父の研ぎを見て育ち、熊野古道で石文化や信仰に親しむ。早稲田大学で文化政治哲学を学び、アジアの文化継承の現場を巡る。日本の製造業の事業創出や海外展開、国連関係機関や官公庁での文化・地域政策支援を経て、2023年より天然砥石館館長。研ぎを通して日本の技術・文化と風土のつながりを探求している。
株式会社 霞合(かすみあわせ)
代表取締役 田中 亜紀
資本金: 300万円
従業員数: 7名(パート・アルバイト含む)
事業内容:
・天然砥石の調査研究及び研ぎ文化の伝承と発展
・天然砥石及び伝統工芸の体験型ミュージアムの企画・運営
・ワークショップ、ツアー、イベントなどの企画・運営
・ミュージアムショップ及びインターネット等を通じた商品の販売
・体験型古民家宿の運営
・文化観光、地域創生等に係るコンサルティング業務